膝の痛み

膝の痛みが起こる原因は、病気やケガの場合とそれ以外の場合にわけられます。
ここでは、病気やケガの場合の代表的な原因である変形性膝関節症とランナー膝についてご紹介します。

変形性膝関節症とは、膝関節が変形することで炎症が起こる病気です。
原因として、おもに加齢と軟骨のすり減りだといわれています。

●加齢

年齢にともない骨や軟骨など組織は劣化してしまいます。
骨をつなぐ役割の軟骨は弾力性が失われてしまうため、関節の摩擦が生じやすくなり、変形が起こってしまいます。

加齢により膝への負担が蓄積することや、運動不足により体重増加することも原因と考えられます。

●軟骨のすり減り

骨を覆う軟骨がすり減ると関節に変形が生じてしまいます。
軟骨がすり減りを起こしてしまう原因は、経年の摩擦です。
膝をつかう際に摩擦が積み重なり、軟骨が徐々にすり減っていくことで生じます。

ランナー膝は、スポーツ障害の1種です。
腸脛靭帯という骨盤から脛にかけての大きな靭帯に炎症が起こってしまうケガです。
ランナー膝が起こる原因は、スポーツや足の形が関係しています。

●オーバーユース

ランナー膝とは、走りすぎるランナーに発症することの多いケガです。
走る際には膝の屈伸運動が繰り返されるため、靭帯が擦れて炎症が起こってしまいます。

●がに股

がに股歩きになっている方もランナー膝は起こりやすいといわれています。
足の形がO脚になってしまっていると足の外側に力が入り、がに股歩きになってしまいます。
そうすると、太ももの外側に過剰な負担がかかるため、筋肉が硬くなって炎症が起こりやすくなります。

膝の痛みに対処するには、症状から原因を突き止める必要があります。
変形性膝関節症とランナー膝の症状の特徴を知っておきましょう。

●初期

安静時には痛みを感じることは少なく、膝の動かし始めに痛みます。
椅子から立ち上がるときや、歩き始めに痛むことが多いです。
休めば痛みが取れて歩けるようになります。
また、膝に引っ掛かるような違和感や動かしにくさを覚えることもあるでしょう。

●中期

動作開始時だけではなく動作中にも痛みが持続するようになり、膝の屈伸が困難になるでしょう。
そして、中期になると膝に水が溜まり、膝が腫れたように膨張します。

●後期

後期になると安静にしていても膝に痛みがあり、歩行が困難になります。
また、足が変形してしまい、Ｏ脚やＸ脚になってしまうこともあります。

●軽傷

受傷の初期段階では、運動中や運動後に痛みが現れます。
しかし、しばらく休むと痛みが緩和されるため、受傷に気付かないケースも少なくありません。
軽傷の状態が続くと運動に支障をきたすほどではないものの、運動中に痛みがつづくようになります。

●重傷

進行すれば痛みが慢性化してしまい、安静時にも痛むようになります。
そのため、日常生活にも支障をきたすようになります。

変形性膝関節症とランナー膝では、膝の損傷状態が全く異なります。
そのため、症状を緩和するための対処法にも違いがあります。
ご自身の膝の痛みの原因にあった対処を行ってください。

●栄養補給する

変形性膝関節症の痛みには、ヒアルロン酸を補給することがおすすめです。
ヒアルロン酸は関節の潤滑液と似た成分になるため、軟骨のすり減りをカバーしてくれる効果が期待できます。

サプリメントなどでヒアルロン酸を補給することができますが、医療機関や整形外科でヒアルロン酸を注射する方法もあります。

●ストレッチをする

変形性膝関節症によって膝まわりの筋肉が拘縮してしまうと、痛みが悪化しやすくなります。
無理のない範囲内でストレッチを行い、膝まわりの筋肉をほぐしましょう。
膝に直接負担をかけるのではなく、前ももをほぐすようにストレッチすることがポイントです。

・前もものストレッチ法

①壁の近くに膝の高さほどの台もしくは椅子を置きます。
②壁に向かって立ち、右手を壁に添えます。
③左膝を後方に引きながら椅子の上に置き、左手で足の甲を持ちます。
④左足をお尻側に引きつけてストレッチを行います。
⑤反対側も同様に行います。

●筋トレをする

筋力が高まれば、膝にかかる負担が軽減されて変形性膝関節症による痛みの緩和が期待できます。
筋トレで膝に負担をかければ痛みが悪化してしまうので、膝に負担をかけないように前ももを鍛えます。
寝た姿勢もしくは椅子に座った状態で、一方の足を伸ばして上に挙げて10秒ほど止める足上げトレーニングがおすすめです。

●膝に負担をかけない

膝まわりの筋肉が疲労して緊張すれば、痛みが悪化しやすくなります。
膝に負担をかけないようにしてストレッチを行い、筋肉の緊張をほぐしましょう。

・膝に負担をかけないストレッチ法

①太もものつけ根あたりに両手を置き、少し足を広げた状態で立ちます。
②背筋はまっすぐ伸ばしたまま、ゆっくり上体を倒していきます。
③太もも筋肉が伸びていることを感じる姿勢で20秒ほど維持します。

・マッサージをする

膝まわりの筋肉が緊張すれば、血行が悪くなり痛みが強まりやすくなります。
セルフマッサージで筋肉をほぐし、血行を促しましょう。
太ももを手で挟み、押すようにほぐしてください。

膝に痛みが現れてから対処することもできますが、予防を心がけることも大切です。
膝の痛みに悩まされないように、予防を行いましょう。

●体重の増加に気をつける

体重が増加すれば、膝にかかる負担は大きくなります。
肥満体型や急激な体重増加はとくに膝の痛みが起こりやすいといえます。
日頃の食生活や適度な運動を意識し、体重を調整するようにしましょう。

●練習量の調整

マラソンなど走るスポーツをしている方は、オーバーユースによる膝の痛みが起こりやすいです。
過度な運動は膝を痛めやすくなるので、運動量を調整してください。
アスリートだけではなく、運動不足を解消するために運動を始めた方も注意が必要です。

●正しい歩き方を身につける

誤った歩き方は膝への負担が大きくなり、膝の痛みが起こる原因になってしまいます。
正しい歩き方を身につけ、膝にかかる負担を減らしましょう。

ポイントとしては、足裏の重心をかかとから指のつけ根へと移動させます。
つま先が外を向かないような歩き方を意識すると、正しい歩き方を維持しやすくなるでしょう。

●膝の柔軟性を維持する

膝まわりの筋肉が硬くなれば、疲労が蓄積されて損傷しやすくなります。
日頃から膝をまわしたり、対処法で紹介したような太ももから膝へのストレッチを行い、柔軟性を維持しましょう。

股関節の痛みも原因がいくつかあります。
変形性股関節症、リウマチ性股関節症、骨頭壊死、大腿骨頚部骨折、そして筋肉のこりです。

大腿骨、骨頭、関節に炎症や傷がある場合は、外科的診療が必要になります。
炎症が要因でのこりをほぐすことで、歩行しやすさ、痛みの軽減などに期待できます。
筋肉のこり（大腿部、骨盤内部の筋肉）の場合は、患部への施術によって改善が見込めます。

どのような姿勢がつらいか、どのタイミングで痛みが出るかによって、原因となるこりを推定していきます。